和歌山読売写真クラブ(和歌山YPC)

Wakayama Yomiuri Photo Club
2010年度 例会作品 (松原講師選)
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 12月作品(12/11(土))
あふれる黄色のもみじ葉が前方に迫出してくる立体感が面白い。中央の黒い木が全体をひきしめて、安定した構図を作っています。美しい光線状態も画面に奥行きをつくっています。 落葉に埋めつくされた良い場所の発見がこの作品の成功したポイントです。日差しに映える落葉と樹々の影のかたちがバランスの良い構図を作っています。色の統一感も秋を表現しています。 秋の日の一時を犬と共に過ごす人物の気持ちが伝わる静かな写真です。公園の一角の情景が朝の斜光線の描く長い木の影で季節を表現しています。
「黄葉」  山田  至 「こぼれ日」  竹本  繁 「晩秋」  山口隆章
 11月作品(11/13(土))
日本中どこでも見られる市場の情景を、ごく普通のアングルで味のある写真にしています。特に朝の光の中に立ち上がる湯気がとても効果的です。買い物客の動作や表情も自然で、シャッターチャンスとフレーミングの良さが光ります。 抽象画と同様にコンポジションの面白さを感じるレベルの高い造形作品です。画面上下の黒の形で切り取った、空の空間の形がとても良く、細い黒のラインも効果を上げています。三角の茶色のビルもバランスの良い画面構成を担っています。 水の流れがとても幻想的な描写で美しい。ピンホールで長時間露光という組み合わせならではの表現です。水のハイライト部からシャドー部にかけてのグラデーションが美しく、形も美しい。上部の岩の一部も重要です。
「朝の市場」  野島 満 「梅田寸景」  竹林健治 「妖幻」  篠崎一恵
 10月作品(10/9(土))
ボトルシップやミニチュアの帆船、そして人形の船乗り、それぞれが想像の翼を広げる夢のある作品になっています。浅いフォーカスが背景を美しく描写しています。グレートーンの表現が適切で画面が落ち着いています。 望遠レンズの描写を活かした風景写真です。遠くの城やビル、港のタグボートを一枚の画面につめこんだような面白さがあります。夕刻の光による色調も効果的です。 まるで昆虫を想像させるような「アサガオの種」の形が面白い。身近な植物の観察から生まれた作品で、いつもながら自然の造形には驚かされます。背景の明暗の配置も適切で、光の読みも成功しています。
「港町」  宮村歌子 「港の夕景」  竹本 繁 「舞」  貴志芳子
 9月作品(9/11(土))
力強い生命力を感じさせる女性を素直な視線でとらえています。網繕いをする姿を正面からとらえることによって、この人物像の語るメッセージがダイレクトに語りかけてきます。 ローソクの灯と願かけに訪れた親子の明るい様子がうまく描写されています。夜の撮影はコントラストが強く、なかなか難しいのですが、この作品では多数のローソクの灯が面高原のようになり、光がよくまわって美しい作品になっています。 魚眼レンズの描写を巧みに使いこなし意表をついた作品です。見慣れたお城からの風景をレンズの歪曲描写により異風景に変換した別世界を創ることに成功しています。雲の状態も効果を上げています。
「内助の功」 井上泰治 「願」  松下伸三 「紀州の屋根」 笹山直樹
 8月作品(8/14(土))
農村の行く末が「テーマ」で、鋭い眼差しを感じる作品です。自然の中で仲良く作業する老夫婦をうまくまとめただけでなく、深い内容を美しい情景にしているのが良い。 妖艶を感じるハスの姿が魅力の作品です。この写真の面白さは光の美しさです。スポットライトを浴びたような花の描写は秀逸です。黒い背景やダークグリーンの葉の表現も効果的です。 花のクローズアップと人工照明による表現によって一味違った作品にしています。花弁のグラデーションが美しく、おしべやめしべの形もうまくフレーミングされて面白い構図に仕上がっています。
「農の現実」  山口隆章 「調べ」  篠崎一恵 「月下美人」 貴志司朗
 7月作品(7/10(土))
旧い街の夕暮れ時の情景をうまくとらえています。雨に濡れた道に映える光が魅力的です。傘をさした女性の佇まいや赤いポストが内容を深めるのに役立っています。赤っぽいタンクステン電球の光が心を癒してくれます。 一見何が写っているのかわかりませんが興味を引く画面です。よく見ると蛙の皮膚感がリアルに描写されています。水面の白い反映も美しく、真上からのカメラアングルやフレーミングも適切です。静止した時間を感じる作品です。 若い修行僧達の気持ちが写真を見る者に伝わる作品です。経を称えながら歩く僧達の表情をうまくとらえています。柔らかな光によるソフトな色調もよく、長焦点レンズによる描写も適切です。
「街角」  竹林健治 「今日の天気は?」  井上泰治 「雨の修行僧」  玉置登美男
 6月作品(6/12(土))
祭りの群衆から取り残されたような幼女の姿が印象的です。振り返った子供の表情から、どんなメッセージを受け取るかによって、さまざまなドラマ展開があります。子供の周辺の空間が作品の面白さを増幅しています。 ハスの花弁がとても可憐に表現されています。極浅いフォーカスの描写をうまく生かした作品です。色彩も淡くアウトフォーカス部のボケ味も効果をあげています。シンプルにまとめた画面構成も成功しています。 なにげなく見過しそうな情景の中からの発見をうまくとらえています。二つのマヌカンの後姿と生身の人物との出会いの瞬間に出来た映像の面白さがあります。ガラスの映りこみも現実感を深めています。
「ひとりぼっち」  野島 満 「ハスの花」  篠崎一恵 「遭遇」  宮村歌子
 5月作品(5/8(土))
一日のうちで最も魅力的な時刻を美しく映像化するのに成功しています。空の残照、三日月、街の暖かいあかりと人影が、ほどよいバランスで表現されています。春の夕暮の情緒を色濃く感じる作品です。 さくらの花の艶やかさがうまく描かれています。簡単に写せる桜ですが「作品」にするのは、なかなかむずかしい被写体です。黒い枝で画面を引き締め満開の桜の情念が表現されています。 花を美しくのみ撮るだけではなく、観る人に答えを委ねる作品です。私には華やかなドレスをまとった人形のように感じます。逆光で写された花びらの微妙なトーンが寂しげです。背景の描写も効果をあげています。
「あかり」  太田信子 「桜」   山田 至 「ラストシーン」  貴志芳子
 4月作品(4/10(土))
春の風がゆったり吹き渡る湖で、のんびりと釣りをする光景がとてもうまく描写されています。満開の桜も申し分なく美しく、湖面に浮かぶ小舟の大きさが、スケールの大きな風景を感じさせています。構図にも無駄がなく気持ちの良い作品になっています。 美しい光線状態の中で昆虫の顔がとてもユーモラスです。全体がグリーンで統一されていて、さわやかです。光が透けた葉の水平線が美しい。特に虫の目とヒゲがとても印象的です。フレーム、背景の処理も適切です。 一番身近な被写体である家族をこのような素敵な写真に出来るのは、撮影者にとって、楽しくそして宝物でもあります。縁側の自然な光線が生かされ自然な表情をとらえたシャッターチャンスも適切です。さりげない障子紙の白さが日本建築の美しさも表現しているようです。
「湖畔」  竹林健治 「朝光の中で」  竹本 繁 「縁側」  磯 秀樹
 3月作品(3/13(土))
ススキの美しい直線を生かした明快で気持ちの良い作品です。空の青と枯れススキの色のコントラストもとても美しく又、シンプルな構図の画面も効果をあげています。 世相をうまく取り入れ映像化した興味深い作品です。マネキンに巻かれた赤いベルトがとても効果的で、ミイラの包帯に見立てているのが面白い。通りすがりの人物も内容を深めています。フレーミングも良い。 ひな壇の前での記念写真もこのように三代そろうと立派な記録です。身近なテーマですが、写真の記録性が最大限発揮された作品になっています。今後四代、五代と続けることで価値が高まることは間違いありません。
「冬のススキ野原」  井上泰治 「今時のミイラ」  宮村歌子 時の流れ(陽気な三世代)竹本まき子
 2月作品(2/13(土))
ミステリアスなストーリーがふくらむ良い作品です。画面全体をしめるグレートーンが良い雰囲気をつくっています。特別な被写体ではないそれどれの物が、一つの画面内に登場している面白さがあります。光線状態のよさがポイントです。 一見富士山と分らないな写真です。自然の力を感じさせる良い作品になっています。形にとらわれず本質をとらえる目で被写体に向かった作者の感覚が光ります。レンズの選択、フレーミングも最適です。 おばあちゃんと孫のほのぼのとした、つながりが見る人の心をなごませます。カメラ位置が良く、ソリすべりの雪道の傾斜の感じが出ています。二人の表情から家族の絆を感じます。
「東京タワー」  吉田満利 「巻き雲」  澤 和行 「おばあちゃんガンバって!」 前田哲夫
 1月作品(1/9(土))
普通の家族の一コマがうまく描かれています。バラバラに見える動きの中に家族としての繋がりが読み取れます。雨に濡れた敷石が美しく、うまいシャッターチャンスによって画面に動きがあります。うまい作品です。 ショーウィンドーの前で品定め中の子供達のしぐさがとても可愛くとらえられています。ディスプレイの仕方が昔と違い、皿が垂直なので一見食べ物でないような錯覚をおこします。たくさんの食べ物の数に迷う子供を蝶に喩えて面白い。 色をおさえた作品ですが、とても印象的に仕上がっています。ショーウィンドーのガラスに映ったイチョウの木とビルですが、アウトフォーカスの像を実にうまく生かして幻想的な画像を作っています。全体がモノクロームのグレーで占めていますが、イチョウの葉の黄色がとてもうまく使われています。ハイテクニックな作品です。
「冷たい日」  山口隆章 「花畑に蝶々」  宮村歌子 「秋のなごり」  野島 満
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