和歌山読売写真クラブ(和歌山YPC)

Wakayama Yomiuri Photo Club
2024年度 例会作品    田中講師選
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            4月作品(4/13(土))  

作者は葛城山中を撮影に向かう中霧が立ち込めてきて思わず車を止めて上を見あげるとこのような光景に出会ったそうです。鬱蒼としげる杉林は人の手が入って枝打ちが行われ真っ直ぐに天に向かって育っています。縦位置にまとめた画面は明るい中心点に向かって勢いよく伸びてゆきます。シンプルな画面構成に作者の美的センスを感じる作品です。

 那智勝浦町に住む作者は先月313日に打ち上げられた民間小型ロケット「カイロス」の発射を那智湾から撮影しました。残念ながら発射してすぐに爆発しましたが山の向こうにはその白煙が上りました。当日はたくさんの人たちがその瞬間を待ちかねていましたが地元の利点を活かしたこの作品は今後の発射の成功の瞬間をきっと見せてくれるでしょう。

 海南市の長保寺は紀州徳川家歴代の御廟があることで有名です。また花の名所としても有名で境内には400本もの桜がこの時期満開で花の海の中に国宝の大門が埋もれているようです。作者は画面を縦位置で奥行き感を出し大門の入り口を左下に入れ奥に続く桜並木と人物、周りを埋め尽くす桜をこれでもかと言わんばかりの大迫力で表現しました。

     
 「霧中」  坂本哲郎    「カイロス爆発」  赤阪生一   「満開のさくらと...」  前田哲夫
           3月作品(3/9(土))  

針供養は、裁縫の技術を伝えたとされるスクナヒコノミコトが祀られている淡嶋神社で使い古された針を供養して裁縫の上達を願う行事です。作者は毎年28日に行われるこの行事を真正面から巫女さんたちが瓶から針を取り出す瞬間を捉えました。手前の針が入った大量の瓶、奥の神殿、社紋の幕。ステージの上で演じるかのような見事な一瞬です。

 早朝の緑化センターを訪れた作者は係の人たちが朝一番に植物たちに水遣りをすることを知っていました。水滴を含んだ朱色の蕾は後ろの景色をレンズを通したように写しています。淡いグレーのバックと朱色の蕾、白く輝く水滴、形、色彩のバランスがシンプルであるからこそセンスが問われる素敵な作品となっています。

 和歌山市の雑賀崎漁港は岬の上まで民家が立ち並ぶ独特の地形でフォトジェニックな場所として有名になりました。作者は夕暮れ近くに時間を決めて夕空の雲の様子、風の状態、水面の映り込み、街の光などじっくりと観察した上でシャッターを切ったそうです。中心から少し上の水平線の上には漆黒の半島にキラキラ輝く宝石のような光が輝いています。

     
「針供養」  森 和代   「朝の光」  山口隆章  「宝石箱」  前田哲夫
         2月作品(2/10(土))  

 裸詣りは厄除けの神様として信仰される伊太祁曽神社の伝統行事、参加者は上半身裸で腰に注連縄を巻いて毎年成人の日の朝走ります。作者は神社に到着した参加者が気合を込めて水をかぶる瞬間を捉えました。水の勢いがぴたりと止まりその形の美しさと後ろの子供達の寒そうな表情がユーモラスな作品となりました。

 淡いピンクの梅の花が開花しました。作者は青空の下、花を大胆にアップで捉えます。オシベにピントを合わせ絞りは開放近く、太陽の位置を計算し花びらが透ける位置を探しシャッターを切りました。露出を標準より明るく設定することで梅の花の透明感と花の輪郭が露出オーバーで白く飛び、青空の色彩と相まって光に満ち溢れた作品となりました。

 夕暮れ近く空にはまだ青さが残る時間帯にも関わらず霊場高野山奥之院は生い茂る杉の木立により闇に包まれています。道の両側にはほのかに光る石灯籠に火が入ります。道に沿って並ぶ石塔の光は奥へと誘う優しい光です。作者は雪が積もるこの道を優しい光に導かれるように露出を切り詰め極寒の中に微かに灯る暖かい光を表現しました。

     
「裸詣り」  久保賀圓   「光の春」  竹本 繁  「奥之院への案内」  玉置登美男
         1月作品(1/13(土))

 年の初め何かを求めて湯浅湾に出かけた作者はその日の強風に煽られて波立つ水面に魅せられました。時刻は夕暮れ迫る頃、夕陽が波頭だけあたり金色に光輝く光景を目の当たりにして夢中にシャッターを切ったそうです。一瞬の光景に出会えた作者の幸運とそれを逃さず撮影した力量は見事です。

 作者のご自宅前に広がる光景だそうです。早朝ご自宅に居て窓が明るくなり茜色に染まり出すのを見てすぐにカメラを持って外に出たところ見事な朝焼け雲が目の前に迫り、まだ明けきらない一面に広がる畑の畝に微かに映り込んでいるこの光景は見慣れた日常の風景を一変するほどのパワーを感じる作品となりました。

 貴志川町の平池の夜を飾るイルミネーションは昨年末から新年にかけてのイベントで多くの方が訪れます。作者は離れたところからさまざまな色の光が水面に映る場所を選び手前に枝に巻かれた光をアウトフォーカスにして立体的に表現しました。夜の撮影は現実感をなくしメルヘンの世界に誘う不思議な効果があります。

     
「夕陽に染まる」  松浦由裕       「朝焼け」  坂本哲郎     「多彩な夜」  森 和代     
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