和歌山読売写真クラブ(和歌山YPC)

Wakayama Yomiuri Photo Club
2018年度 例会作品    田中講師選
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   12月作品(12/8(土))  

  午後の日差しは時としてドラマチックな場面を作り出します。作者は壁に写る電線の影と日陰から現れた赤い服の男性、不思議な看板、電柱の上の青い標識、手前の女性、奥の男性それらを瞬時にバランスよく捉えたスナップ力は見事です。

 機械を使っての稲の収穫を撮影した2枚組の作品。ご近所の知り合いの方ということで作業する人の表情もやわらかく好感が持てます。今時の農作業の様子がわかり農業のイメージも省エネ、省力化の時代だと教えてくれる作品となりました。

 もうすぐ海の向こうに朝日が昇ろうとする瞬間、若いカップルが日の出を待つかのように海辺に佇む光景を作者は愛情を込めて後ろからそっとシャッターを押しました。明るい未来を祈るような作品。タイトルにもう一工夫すれば想いがもっと届くかも。

     
「斜陽」  野島 満    「収穫」  坂東捨一  「夜明け」  松浦由裕  
   11月作品(11/10(土))  

 宮城県県鳴子町は温泉と「こけし」で有名な町。作者はその地にある「こけし館」を訪れ撮影の許しを得て「こけし工人」の作業工程を、手元だけ3枚でまとめました。力強い手から生まれる柔らかな木肌がこの作品魅力となりました。 

 和歌山港に入港した帆船「みらいへ」、青空をバックに真っ白な帆を張った姿は本当に美しいです。少しの風が帆を膨らませ、後マストの日の丸の赤がいいポイントです。何より左の男性のその姿を撮っておきたい気持ちがよくわかります。  

 白浜の円月島で夕日を待っているときにふと後ろを振り返ると、同じ種類で色違いのサンダルを履いた若い女性たちが堤防に並んで座っているのを見つけ撮らせてもらった作者、素材を見つけすぐに行動するフットワークの良さに感心。

     
「伝統工芸」  久留主忠雄   「美しいね」  山口隆章 「足下いろいろ」  小倉 清 
   10月作品(10/13(土))    

 都会の高層ビル街には憩いの空間があり、そこには巨大なオブジェが飾られたりします。作者は超広角レンズで画面いっぱいにオブジェを入れ、そばを通る人物との対比とハイライトに露出を合わせ省略された異空間を表現しました。 

 真夏の海水浴場での一コマ、おしゃれな女性に声をかけて撮らせてもらったという作者は、同性の特権を活かし大胆に近づいて、シルバーのネイル、青い石の指輪、サングラスなどわずかな要素で全体が想像できる作品に仕上げました。

 暮れなずむ波止の上ではたくさんの釣り人や涼を求める人たちが集まっています。作者は対岸の離れたところから望遠レンズで、遠くを走る貨物船、その向こうの山並みの濃淡の階調と、波止のシルエットが画面を引き締めています。

     
「ローキートーンで」  笹山直樹    「ネイルの女(ひと)」  太田信子     「波止の夕暮れ」  玉置登美男  
   9月作品(9/8(土))      

 アスファルトの道の上には猫が二匹、真夏の強烈な日差しが傾いた時間が画面左の猫の影でわかります。この写真には道と猫しか写っていませんが、放射状の白線と猫の影が絶妙のバランスで、それがこの作品を格調高くしています。

  ハスの花が咲く池にたくさんの錦鯉、餌を求めて浮き上がってきているのでしょうか、綺麗に咲いた花をめがけて集まってきたように見える錦鯉、ピンクの花、緑の葉、全てが大きくて見事な色彩同士が動きの中でまじりあうようです。

   これは何かの顔でしょうか、いたずら書きなのでしょうか。不思議な作品です。作者は川面に映った橋の影を流れの変化で変わりゆく一瞬を何枚も捉えたうちの一枚だそうです。光と陰が作るアートを白黒での表現が成功しています。
     
「午後の斜光」  竹本まき子       「彩」  森 和代     「水面の奇顔」  竹本 繁     
   8月作品(8/11(土))    

 早朝にこの水田を訪れてた作者は、朝日に輝く稲の葉の水滴を含んでキラキラと光る美しさに感動してシャッタを切ったとのこと。左上からの朝日と、散歩する人物がこの画面に素敵なアクセントをつけています。

 夏休みの早朝は広場でのラジオ体操から始まります。スタンプカードを首にかけた子供たちが集まるこの会場には年配者の姿しかありません。作者は皮肉を込めてたタイトルが、朝の光と影の美しさ隠れ、格調高い作品となりました。

 満開のひまわりに囲まれて子供たちの花に負けない笑顔の記念写真。全てのひまわりがこちらを向いていてその中に子供たちを上三分の一に配し画面が軽やかで黄色と白、青の服の色彩が爽やかさと変化を生み出しています。

     
 「朝の光り」  太田信子       「子供ナシのラジオ体操」  山口隆章       「ひまわりと笑顔」  前田哲夫     
   7月作品(7/14(土))     

 よく見れば車のボンネットに学校の上履きのバレーシューズが四足並んで干されています。ここの家のお子様達のでしょうか、仲の良い家族が目に浮かびます。車にあたる日差しの境目に真っ白な靴が際立つ作者の撮影意図が見事です。

   梅雨のさなか街を歩いての撮影で見つけた光景。前栽の片隅に置かれた水鉢に紫陽花の切り花が生けられています。青、赤紫、ピンク、葉の緑、それを見守るように黄色のアヒル達、抑え気味の露出と柔らかい光が格調を産みました。   カマキリの子供が何かを狙っているのでしょうか、よく見れば画面の左に小さな虫が見えます。逆光気味の光がカマキリの透明感と立体感を見事なピントで表現しています。親の気持ちで見守っている作者の撮影姿勢に(笑)です。
     
 「梅雨の晴れ間」  久留主忠雄       「見守り隊」  森 和代      「ガンバレ 子供よ」  竹本 繁   
   6月作品(6/9(土))      
 黄金色のチューブが並ぶこの不思議な光景は、見る私たちの想像力をはるかに超える不思議な作品となりました。広い畑に植えられたサツマイモの畝を覆ったビニールが朝日を浴びた一瞬を捉えたと言う作者の観察力に脱帽です。

 アジサイの葉の上から首をいっぱいに伸ばして花に移ろうとするのかカタツムリの生き生きした様子を捉えたこの作品は、逆光の光と黒のバックで見事な質感を表現しています。作者の生き物に対する愛情が感じられます。

 まさしく紺碧の海と空の下で愛犬と散歩する若いカップル。切り詰め気味の露出が空と海の蒼さをコクのある色彩に、シルエット気味の人物の、男性のシャツと女性の腕時計のピンクが画面に大きな効果を出しています。

     
 「朝日のあたる畑」  和田雄次      「わたれるかな」  小倉 清    「紺碧の中で」  山口隆章   
    5月作品(5/12(土))    

 海遊館の観覧車の上から見下ろした光景をすかさずカメラにおさめた作者の直感とセンスが素敵な作品を生みました。長い階段とその間に植えられた木々の影が立体感を生み、右上の小さく写った人物がこの作品の核となっています。

 海外からのお客様でしょうか、桜の季節に和歌山城で出会った光景に作者は思わずシャッターを押しました。こんな大きな荷物を持ちながら満開の桜を撮影するたくましさと持ち物の赤の色彩が縦の構図の中に見事に収まっています。

  タンポポのわたぼうしが風で飛び、わずかに残った種が丸く円を描いてその周りに不思議な柔らかな形を作っています。こんな小さな植物でもこのように近づいてみると広大な世界が広がって見える面白い作品となりました。

     
 「ストライプ」  久留主慶子      「ステキデス!オシロノサクラ」  竹林健治     「変身」  井上泰治  
    4月作品(4/14(土))     

 中国上海市の町歩きの一コマ。作者は近代的なビルの谷間に昔ながらのヨーロッパの香りのする古き時代の町並みを見つけました。アーチ型の門の奥に休憩している調理人たち、奥に続く路地、画面に吸い込まれる見事な構図です。

 例年より早かった今年の桜の満開に作者はこの場所を選びました。画面の中央を走る線路の上の実像と池に映る虚像、その中から突然現れる赤い電車。静かな風景の中に生き生きとした動きが加わり、元気がもらえる作品となりました。 

 満開の菜の花畑は黄色一色の塊として全体を捉えがちのところ、作者はその中の2本に注目しました。両手を広げながら背伸びし合っているように見えたのでしょう。ユーモラスなタイトルと素材を見つけ出す観察力に脱帽です。 

     
 「ノスタルジック」  竹本まき子    「春爛漫」  久保賀圓    「背くらべ」  久留主慶子  
    3月作品(3/10(土))    

街のなかには色々な被写体が隠れています。作者は神戸の街を歩いてふと気づいた光景は、ショーウィンドウの前を歩く人たち、新しい街並に街灯と街路樹が画面を区切り、素敵なデザインのアート作品となっています。 

オレンジ色の観覧車と北極星を中心に回る星々、デジタルカメラでの撮影と後処理の技術で、フイルムの時代ではおよびもつかない作品が生まれました。作者のチャレンジする気持ちと探究心に脱帽です。 

早朝の雪景色を見た作者は和歌山城に向かい撮影した作品。ふと見上げた瓦屋根に残る残雪に光が当たり、なだらかな屋根のカーブが強調されています。画面の切り取りも無駄がなく洒落た作品となっています。 

     
 「街角」  野島 満   「観覧車と星」  小倉 清   「春待ち雪」  竹本 繁 
   2月作品(2/10(土))   

 厳冬のこの時期、高野山高校の生徒たちの水行を終えて上がってくる姿を捉えて作品。綺麗に剃りあげた頭と体にまとわりつく白衣、冷たい水に浸かっていながらも真摯な心で祈り続けた様子がうかがえる作品となりました。

  マッチ棒や百円玉などものの大きさの比較に使った写真はよく見ますが、パイプより小さな鉢に植えられた古木に二輪の紅梅の蕾。ものの大きさの表現だけではなく、作者は油絵のような格調の高い構図の作品に仕上げました。 

  今年和歌山にもこんな雪の日がありました。作者はその機会を逃さずカメラを持って撮影に出向くその気持ちに脱帽です。背景に雪に煙る和歌山城を入れ手前に赤い傘、オレンジの車がモノクロの画面にアクセントを添えています。 

     
 「水行おえて」  和田雄次   「小品梅の盆栽」  笹山直樹   「三年坂雪景色」  竹林健治 
   1月作品(1/13(土))  

 2018年元日の初日の出、作者は毎年最初の一枚をこの場所で撮影すると決めているのでしょう。こんな想像をしてしまうような作品です。日の出の場所、島影、海霧、手前の二人の人物、その全てが見事にまとまっています。

 北陸金沢の幹線道路は除雪のための水が常時流れ、道の端にはシャーベット状の雪が残っています。そこに車の轍が雪の線を残し、自転車のマークを横切りました。旅先でそこに目を向けた作者の感性にオリジナリティを感じます。

  由良町の興国寺で行われる天狗祭りの一コマ、天狗の面をつけた女の子たちが出番前のひとときを手遊びで時間つぶしをしている一瞬をスナップ。薄暗い条件の中、遅いシャッタースピードが手の動きを見事に表現しています。

     
 「初日の出」  赤阪生一  「凍みる通学路」  太田信子  「子天狗のたわむれ」  森 和代
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