和歌山読売写真クラブ(和歌山YPC)

Wakayama Yomiuri Photo Club
2017年度 例会作品    田中講師選
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    12月作品(12/9(土))   

  紀の川市貴志川町にある平池は多数の野鳥や水鳥が生息している用水池、その中に突然黒鳥がやってきました。作者はできるだけ近づいて餌をついばむ姿を画面に配しました。赤いくちばし、左上の3羽の水鳥の配置も絶妙です。

 根来寺の境内にある庭園の池のほとりで家族が鯉に餌をやっているのでしょうか。作者はその様子を綺麗に色づいた紅葉越しに捉えました。空の白と水面に映る空の白を紅葉で隠したシンプルな画面構成は見事です。

 作者は撮影地に向かう途中で見かけた光景、畑の中にたくさんの人たちが作業をしていました。引き返して見てみると全てが案山子。どんなところにも題材はあるいい例です。中の一人がこの案山子たちの作者だそうです。

     
 「黒鳥平池に飛来」    竹林健治  「晩秋」    坂東捨一  「小春日和」   竹本 繁
    11月作品(11/11(土))   

 大空にそびえ立つ巨大なイチョウの木は陽に照らされて今が最高の黄金色。左の小高い土手から右手の雑木までのイチョウを包み込むような大地の中で二人の子供たちが画面のスケール感を演出しています。

 作者は愛知県常滑市を訪れた時に見かけた風景。雨に濡れた坂道の滑り止めは、この地の特産の焼き物の廃材を使ったまるでブランドのバッグを思わせる素敵な坂道。上から降りてくる女性の足元もおしゃれな雰囲気です。

 紅葉真っ盛りの高野山じゃばら道にはたくさんの観光客が詰めかけているようですが、作者は少し引いた場所からの撮影で、外国からのお客様が楽しそうに過ごしている様子を優しい眼差しで見つめている姿に共感を覚えました。

     
  「大きな木の下で」  竹本まき子   「滑りません」  前田哲夫   「高野山の秋」  玉置登美男
   10月作品(10/14(土))  

 奈良県明日香村の彼岸花祭りは秋の収穫を待つ田んぼの畔にたくさんの楽しい案山子が並ぶお祭りです。その中の一つは、俵を積んだ荷車を押す小人たち、後ろからとらえた作者は一人ずつの見事な動きを的確にとらえました。

  都会のビルの中にあるオープンな休憩スペース。そこでくつろぐ人たちが10月の風を感じながら座っている後ろからカメラアングルを低くすることで、床が鏡のようになって空が写っています。静かな時間を感じます。

 なんともモダンな作品なのでしょうか。右下から始まる三角形の芝生、直線で区切られた空と海、シルエットで描かれた鉄塔、釣り人、自転車に乗る人、その配置は一枚の紙に描かれたデザイン画のような隙のない配置になっています。

     
 「お手伝い」  山口隆章  「オアシス」  松浦由裕  「初秋の浜辺」  赤阪生一
   9月作品(9/9(土))   
  写真を趣味にしている若者達でしょうか、沈む夕日と茜色の夕焼けをそれぞれが横に並んで撮影しています。後ろからそっとシルエットで撮影した作者は、若者達の写真を見せあう楽しい姿を想像しているのでしょう。

 山沿いの段々畑は稲穂が垂れ下がり刈り入れ間近、作者は広角レンズを使って、アングルを低くしハート型の稲を強調し、奥に続く農村の奥行き感を出すとともに稲の周りの彼岸花が作品にアクセントをつけています。

  なんとも豪快なあくびではないでしょうか。猫は誰からも邪魔されずマイペースに行動します。こんな間近でこの大あくび、その瞬間を逃さずとらえた作者はいつも愛情いっぱいでつながっているのでしょう。
     
  「黄昏」  坂東捨一   「秋本番」  森 和代   「大あくび」  富岡結花
   8月作品(8/12(土))    

 作者の毎朝の散歩の途中で出会った一枚。朝日が上る頃、堤防の上を歩く4人の女学生たちの姿をシルエットに収めたこの作品は、それぞれの個性がシンプルな画面の中で見事に表現されています。日常生活の中の少しの変化も逃さない作者の研ぎ澄まされた感性を感じます。

 車道を避けて堤防の下に作られたサイクリングロードは大きな橋の下で気持ちのいい日陰を作っています。作者は、画面右から来る自転車を橋桁にかからないよう絶妙のタイミングでシャッターを切っています。画面の左、下を少し切り詰めると画面がまとまるでしょう。

 大阪駅周辺で行われた「梅田ゆかた祭り」でのスナップ。この日の梅田界隈は浴衣姿の若い女性が主役のイベント。作者は初々しい若いカップルの姿を見つけレンズの絞りを開放にし、バックをぼかして二人だけの世界を演出しました。なんとも微笑ましい素敵な作品です。

     
 「朝日の中」  和田雄次  「休日」  久留主忠雄  「仲良しカップル」  久保賀圓
   7月作品(7/8(土))   
  梅雨の季節の代表的な花、アジサイ。作者は淡い色彩の花に目をやるばかりではなく、クモの巣についた水玉や葉っぱから覗く生まれて間もないバッタの子供など、その周りに息づく素敵な世界があることを教えてくれました。   大きなひまわりの花を真上から撮影と思いきや、幼い女の子の髪飾りとのこと、手には小さなゲーム機。視点を変えてみることでこんなにもしゃれた作品に作り上げた作者のセンスが光ります。   青虫と聞いただけで背筋が寒くなる人も多い中こんなに色鮮やかな配色でしかも軽やかなデザインのこの青虫君は愛嬌すら感じます。バックの緑の色彩もこの作品を引き立てています。きっと綺麗な蝶に変身することでしょう。
     
 「僕はここにいるよ!」  前田哲夫  「ゲームに熱中」  竹林健治  「ポップな青虫君」  森 和代
   6月作品(6/10(土)) 
  目にも留まらぬ一瞬を写し止めるカメラの機能を存分に発揮した作品。競馬場で飛ぶように走り抜ける馬の後ろ足に続く砂柱がレースのスピードを感じさせ、見る人に新鮮な驚きを感じさせてくれました。   高野山の5月は石楠花の季節、山に面した庭園に咲く石楠花はその質と量に圧倒されるほど。右上の斜めの軒先と右下の屋根が作る鋭角の空間が作品の奥行きと品格を作り出しました。

 和歌祭の百面の若者、高下駄を履いて歌舞伎風の化粧と頭に能面をつける姿はこの祭ならでは。白い布のバックは派手な化粧の若者と頭につけた能面の二つの顔のポートレートとなりました。

     
 「躍動」  太田信子  「石楠花の庭」  井上泰治  「厚化粧」  竹本 繁
   5月作品(5/13(土))   

 毎年5月3日に行われる海南市下津町の立神社の春祭りの餅投げは、その規模と量で全国的にも有名な祭りだそうで、その様子を4枚の組写真で見せてもらいました。満開のツツジに囲まれた神社の遠景が秀逸です。

 都会の街中には色々な写真の素材が転がっています。ビルの壁面に飾られたモノクロームの大きな広告、男性の両腕には丸い腕時計、自転車の車輪、カーブミラー、いろんな丸の中に左上の四角の窓、作者のセンスが光ります。

  古い学校の窓に映る満開の桜の花、窓枠だけで時代がわかり、割れたガラスを入れ替えたであろう、所々のすりガラス。やんちゃな生徒と先生の会話が窓枠だけで想像できる素敵な作品です。

     
 「立神社の春祭り」  玉置登美男  「視線」  野島 満  「まなびや」  竹本まき子
   4月作品(4/8(土)) 

 京奈和道開通前のまっさらな高速道路を歩いて渡るイベントでの一コマ。若者達がふざけて撮影しているスナップは、日頃から何が起こるかを予想して撮影に臨む作者の姿勢に脱帽です。

  和歌山城のお堀をゆったりと走る遊覧船は街並みを映した水面を揺らしながら進みます。春の時間が写っている穏やかなこの風景は、作者の、四方に目配せしながら被写体を見つけ出そうとする結果だと思います。   道路の上に溜まった水たまりの上から落ちる雫が作る丸い波紋は、白いマンホールの形と呼応するかのようにリズミカルな円を描いています。音が聞こえそうな素敵な写真となりました。
     
  「開通記念」  山口隆章   「お堀遊覧」  久保賀圓   「波紋」  松浦由裕
  3月作品(3/11(土)) 
  梅の季節、大阪城公園での散策の途中ふと見上げたガラス一面のビルに雲が映るその後ろを白い雲が重なる一瞬、虚像と実像を単純な色彩と形でデザインした作者のセンスが光ります。  少年野球を小さな窓から観戦する四人の少年たちは次の回に出場する選手たちでしょうか、背番号がついていないから補欠の選手たちでしょうか。後ろ姿からいろんな想像が膨らむ楽しい作品です。  大相撲大阪場所を前に朝稽古に励む若い力士の汗と土にまみれた一瞬を切り取った作品。単純な背景に力士の荒い息遣いが聞こえる表情と、力を込めた右腕だけを残したギリギリの画面構成は見事です。 
     
 「抜ける雲」  和田雄次  「ワクワク!」  前田哲夫  「鍛える」  磯 秀樹
 2月作品(2/11(土)) 
  茶の間に差し込む午後の日差し、テーブルの上に置いているみかんのカゴの網目の影が素敵なアートを作り出しました。シンプルな色調と上を切り詰めたカット、その上マイナス露出が作品の品格を生みました。   冬の高野山、この時期は積雪も常で、山道を歩く女性の足元は目に鮮やかな赤い長靴。モノトーンの中の赤は少しの面積でも強い印象を受けます。石畳の白い雪のラインが効果的なリズム感を出し、奥へ奥へと誘うようです。

 散歩の途中で出会った光景、打ち捨てられた自転車の車輪が作る影が面白くて撮影した中の一枚とのこと、決められたサイズの中にいかにして車輪と影をデザインするかがこの作品の成功につながりました。

     
 「午後のひと時」  久留主忠雄  「赤い靴」  森 和代  「リンリン(輪輪)」  竹本 繁
 1月作品(1/14(土))

由良町の名刹興国寺で、毎年成人の日に行われる天狗祭りに参加する小天狗たちの本番前の一枚、絶妙なタイトルがシンプルな画面構成と相まってセンスの良い作品となりました

水面を泳ぐ見たこともない大きな魚は、と作者はおもわずシャッターを押したのでしょう。見慣れた景色の中にはこんな面白いものがたくさん発見できるのです。ナイーブな感性と想像力がこの作品を生みました

成人式の美容院での一コマ、まさに個性的な髪型を目から下をカットしたトリミングで見る人の想像力に委ねるこの技法は、この女性の生き方、性格も写し斬新な作品となりました

「鼻くらべ」  竹本まき子 「怪魚」  久留主慶子 「個性的」  太田信子
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