和歌山読売写真クラブ(和歌山YPC)

Wakayama Yomiuri Photo Club
2011年度 例会作品 (松原講師選)
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 12月作品(12/10(土))  
対比の妙を投げかけてくる写真です。そこから発するコメントを観る者がどのように受け取るかが、問われる映像です。左右二つの像は表面上は、明と暗、動と静のコントラストですが、内容の展開は無限に広がる深さがあります。 身近な雀ですが、このような状況を目撃することは少ないでしょう。逆光の中の二羽は安心した様子で愛らしく写っています。黒い背景が雀のラインライトを美しく引き立てています。「ちがや」?の穂の描写が作品に動きを与えています。 影が主役を演じている写真です。直線で構成された古い建物の美しさがバランス良くフレーミングされ、白い障子のハイライト部に映る軒の影が活きています。トーン配分も美しく、落ち着いた作品になっています。
「落し物」   宮村歌子 「雀のお宿」   久留主慶子 「寂」    貴志司朗
 11月作品(11/12(土))  
実にさまざまな線が構成する美しさが伝わる作品です。視覚的な面白さを生かしたカメラアングルも良く、造形的な面白さを隙きのない構図にうまくまとめています。全体のトーン配分も申し分なく優れた作品になっています。 スケールの大きい風景を、表現ポイントを明確にして描いています。地表についたラインを水の流れに見立てた点が成功しています。立体感のある光線状態に恵まれた良いシャッターチャンスです。 不思議な感覚を抱かせる美しい興味深い造形物です。色・形・質感が想像を超えた物体を感じさせる面白さがあります。シャープな描写とフレーミングがそれをうまく表現しています。
「二人の席」  野島 満 「流れ落ちる大地」  久留主忠雄 「夜の蝸牛?」  貴志芳子
 10月作品(10/8(土)) 
落ち着いた雰囲気の漂う店内をバランスの取れた構図で描いています。ブラウン系の色調で統一された画面が気持ちよく、車輪や階段のリズミカルな線が生きています。 家庭内で見つけた「ゴーヤ」と「トマト」を大胆なクローズアップで新鮮な画像を作っています。撮影距離を変えてファインダーを覗くと驚くような世界が出現する良い例です。形や色彩のグラデーションの面白さがあふれています。 不思議な世界が見える写真です。ピンホールのハレーションによる光の粒が七色に光り、とても効果を発揮しています。実景はごく普通の情景がピンホール写真にすると別の光景になっています。写す楽しさに満ちた作品です。
「コーヒー店」  笹山直樹 「夏の終り」  竹本まき子 「真田堀」  吉田満利
 9月作品(9/10(土))
葉の形がとても美しく魅力的です。余計なものを取り去ったフレーミングはシンプルでバランスの取れた構図になっています。緑の色が黒いバックによって引き立っています。 鉄の質感と足の影の形がうまく構成されて画面を作っています。直線と足指の曲線の組み合わせの意外性が効果を上げています。 ドラマを感じさせる画面が面白い。平凡な空・海・砂浜・後ろ向きの女性という対象ですが、それらをうまくまとめてしまわないあいまいな画面構成とシャッターチャンスが奇妙な雰囲気を見る人に与える作品になっています。
「花一輪」  竹林健治 「フット・プリント」  上房康裕 「宮古の海」  瀧本奈緒子
 8月作品(8/13(土))
日本の夏の大切な行事を素敵なファミリーフォトにしています。子供のしぐさ、表情もごく自然にとらえており、生活感のあふれた背景描写も申し分ありません。 じっくり時間をかけて読み取れる写真です。この人物は今何を考えているのだろう?どんな人生を過ごしてきたのだろうか?と想像が尽きない人物像です。微妙なグラデーションや光が実に美しい作品です。 ハスの葉がこのようにユーモラスな表情を見せるとは思いませんでした。自然の造形を注意深い観察で作品にした感性が光ります。フォーカスの表現効果もよく考えられています。
「お盆の日」  磯 秀樹 「望郷」  山口隆章 「ひょうきんな顔」  野島 満
 7月作品(7/9(土))
非日常の一瞬をうまいシャッターチャンスでとらえています。突然の光景を冷静なカメラワークで処理して、魅力ある作品にしています。透けて見える雲や、全体のトーンもモノクロ写真の美しさを表現しています。 「ガクアジサイ」の花はよく写される花ですが、この写真はそれらの類型から脱した作品になっています。よく考えられた構図や、微妙な光を活かした描写が成功しています。花弁のグラデーションが大変美しい。 平凡な「ヒョウタン」とそれに映ったアサガオの種の影を写した作品ですが、アウトフォーカス部の描写が特に美しい写真です。モノクロームのトーンがソフトで内容をよく表現しています。
「風」  篠崎一恵 「幻想」  井上泰治 「初夏の夕暮」  貴志芳子
 6月作品(6/11(土))
大胆なフレーミングと色彩が不思議な魅力を発散する作品になっています。構図の奇抜さとディテールを省略した肌や唇の赤と瞳の表情がとても印象的です。 光の美しい写真です。山地の棚田の情景がうまく表現されています。近景・遠景の配分構成のバランスが整っています。季節感や空気感も感じられ、手前の水中の足跡も効果をあげています。 見る人の気持ちを穏やかにしてくれる、やさしい情景を写真にしています。明暗のバランスがよく又空間を充分取り入れた構成も内容とよくマッチしています。微妙な動作をとらえたシャッターチャンスによって、二人の日常を想像できる良い作品になっています。
「アート風」  笹山直樹 「天空の棚田」  竹林健治 「語らい」  太田信子
 5月作品(5/14(土))
夜の情景がうまく描かれています。古い日本の街独特の情感が色濃く表現されていて、心を温かくしてくれます。格子戸の影がとても美しく、又通り過ぎる自転車のブレも申し分ありません。 光が宝石のように見える幻想的な作品になっています。技術的アプローチが成功し表現に結びついた好例です。露出をアンダーに切り詰めたことにより、水滴の光を活かしています。椿の花の赤がとても効果を上げています。 子供らしさがあふれる可愛い写真です。画面全体が曲線で構成されている面白さが感じられます。振り返った子供の視線や、しぐさも動きを感じさせる良い作品です。
「格子の灯」  磯 秀樹 「太陽がいっぱい」  竹本 繁 「やさしい視線」  平岡進一郎
 4月作品(4/9(土))
ローソクの灯が演出する幻想的な情景がうまく描けています。火に対する怖れ、憧れが人を魅了するのでしょうか、美しい光の中に少年の仕草と表情がうまくとらえられています。 夕日を背景に咲くモクレンの花の微妙な美しさが表現されています。適切な露出によって花の生命力や太陽のエネルギーも感じられる作品になっています。逆光線が効果を上げています。 身近なものの中から心に響く情景を見つけ出す面白さを教えてくれる作品です。特別魅力的な被写体ではありませんが一枚の写真にすることでドラマが生まれる好例です。鑑賞者の人生経験によって様々な感想が湧く一枚です。
「竹燈夜」  太田昭弘 「白木蓮」  井上泰治 「かげろうもどき」  吉田満利
 3月作品(3/12(土))
ハイコントラストによる明快な表現の写真。白い直線の建物と、白いたくさんのカモメの意外な組み合わせが面白い。空を黒く表現することによって白さが引き立っています。 美しい都市空間を発見し、個性の強い魚眼レンズをうまく使いこなしてバランスの良い構図を作っています。フロアーの白い正方形を横切る影が大変効果をあげています。人物の位置と方向性も決定的なよさです。 穏やかな海辺の情景がローアングルの撮影でうまく表現されています。美しい砂浜を大きく取り入れ、水平線を画面上部に押し上げて安定した構図にしています。輝く水面や人物の配置も効果を上げています。
「マンションの住人」  篠崎一恵 「空間」  笹山直樹 「月面散歩」  久留主慶子
 2月作品(2/12(土))
逆光に光る舟に溜まった水に夕雲が映り、大変ドラマチックな光景です。光る川面や鉄橋、雲が季節感や川原の情景を伝えており画面構成も適切です。 水滴は数多く被写体となりますが、凍った水滴は珍しく、不思議な美しさです。冬の朝の冷たさも感じられます。又ダークグリーンの階調が良く、結晶の美しさを引き立てています。 夜の仙人風呂の雰囲気がとてもよく撮れています。照明に照らされた湯気に浮かぶ入浴客のシルエットが美しく描写され、温泉の癒し効果が伝わります。
「紀の川残照」  野島 満 「晶」   貴志芳子 「癒しの湯」  松下伸三
 1月作品(1/8(土))
猫の可愛さとユーモラスな形をシンプルな構成でうまくまとめています。猫の形と人物の二本の足がとてもうまくフレーミングされています。カメラアングルが秀逸です。 子を持つ親は誰もが経験しただろうと思われる光景の記録です。見る者の気持ちを穏やかにしてくれる写真です。光をうまく使って立体感を出しています。 クモの糸でぶらさがったもみじ葉ですが、その状況から作者の心情がくみとれる奥深い内容を感じます。グレーの背景が逆光線に透けた赤い葉を引き立てています。
「見合せ」  坂東捨一 「なごみ」  竹本 繁 「命綱」  久留主忠雄
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