和歌山読売写真クラブ(和歌山YPC)

Wakayama Yomiuri Photo Club
2009年度 例会作品 (松原講師選)
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 12月作品(12/12(土))
空間の広さと静かさの両方を感じさせる湖の光景がうまく映像化されています。水中に立つ鳥居が日本人の自然に対する敬意と宗教観を表しているようです。水面や水中の微妙な描写も美しい。シンプルな構図が良い。 消滅しない「バラ」の形の美しさが力強いモノクロームで充分表現されています。クローズアップによるシャープなピントと絶妙なライティングで立体感や質感もよく描写されています。植物の生命力を感じる佳い作品です。 都会の一隅をうまく切り取ったフレーミングが良い。物の大きさの意外性を表現するカメラアングルが生きています。巨大蜘蛛が棲むSF映画を想像させる面白さがあります。フレームアウトするシルエットの足が大胆な画面を構成していて良い。
「静かな時間」 篠崎一恵 「ドライフラワー」 貴志芳子 「8本の足」 太田信子
 11月作品(11/14(土))
「だまし絵」のような面白い作品です。枠のむこうの現実の情景が、とてもバランスがよくてまるで絵のように錯覚します。人物の配置の良さはシャッターチャンスの良さです。 どこにでもありそうな情景をうまくまとめて、味わい深い秋を感じさせてくれます。ローアングルによる「コスモスの花」が特に良い。背景の影の部分をうまく生かし、陽の当たる部分をとても美しく表現しています。シャドー部の人物も生きています。 シャープなクローズアップにより単純化された画面は明快で成功しています。ハスの実の形を見極めることによって生かされた作品です。曲線のみによる構図と良好な光による立体感もすぐれています。自然の形は無限の可能性を秘めています。
「スクリーンの内の親子」 磯 秀樹 「秋の午後」  野島 満 「モンキーフェイス」  竹林健治
 10月作品(10/10(土))
風が見える、すがすがしい作品です。やわらかな葉と茂った木々の対比が気持ちの良いバランスを保っています。緑で埋めつくされた中で小屋の屋根が画面を引き締めています。葉裏のそよぎにあわせたシャッターチャンスが良い。 人と魚、人と動物の温かいつながりが、見る人の心をほっとさせてくれます。後ろ向きの人の表情が微笑んでいるような想像をさせる写真です。マンボウの表情が面白い。 物の重量感を感じさせる作品です。山のように積まれた鉄の重さが伝わります。「火箸」の大きさの違いの面白さが、素直なフレーミングで表されています。
「風渡る」  井上泰治 「語らい」  吉村高宣 「奉納」  太田信子
 9月作品(9/12(土))
夏の風物である花火を安定感のある構図にうまくまとめています。光のラインがとても美しく、水面に映る像も効果的です。情景描写も適切で、夏の暑さと花火の音も聞こえます。 「にがうり」の質感が実に美しく描写されています。熟した実のオレンジ色と若い緑の実の組み合わせの構成が存在感を示しています。身近な被写体を凝視することから発見が生まれることを証明している作品です。 自然の造形力の素晴らしさを教わる作品です。作者の発見の目を賞賛しましょう。虫喰い跡のある葉をステンドグラスに見立てたのも面白い。葉脈の線の美しさに脱帽です。フレーミングも最適です。
「川面に写す」  澤 和行 「苦瓜」  貴志芳子 「ステンドグラス」  久留主慶子
 8月作品(8/8(土))
お父さんの背中のぬくもりに安心しきった子供の姿が、とても愛らしい作品です。行事が終わった直後の雰囲気がうまく描かれています。うしろ姿ですが二人の表情が充分想像できます。ライトに光るお父さんの顔のラインライトも効果的です。 意表をついた視点で「オランウータン」を描いていて面白い。思い切ったフレーミングも効果を上げています。普段見ることのない部分を上手く作品にしています。パイプの質感と足裏の対比も秀逸です。クローズアップ描写の力強さがストレートに伝わります。 植物の形の面白さをバランス良くフレーミングした楽しい写真です。画面を構成する曲線がとても魅力的です。緑一色の単純さと光の良さとがあいまって質感が良く描写されています。「写真は発見の芸術」と云われます。それを証明するような作品です。
「踊り疲れて」 磯 秀樹 「握る」 久留主忠雄  「あだばな」 松下伸三
 7月作品(7/11(土))
昆虫写真は何故か心がやすらぎます。「シジミチョウ」が愛らしく撮れている作品です。シャープさや、色再現も申し分ありません。グリーン一色でまとめた背景が「シジミチョウ」の姿を生き生きと表現するのに役立っています。 普通の家族の平和な日常が一枚の写真に封じ込まれたよい作品です。明るさの残る屋外と家の中の様子がバランスよく描写されています。シャッターチャンスも適切で人物のつながりをうまくとらえています。灯籠や子供の乗り物も作品にプラスされています。 水辺独特の香りや風を感じるピンホール写真です。釣りをする人たちを取り囲む白壁の倉庫や柳の木・舟・しょうぶの花など全てが画面構成に参加しています。それらをうまくまとめて落ち着いて見ることが出来る作品にしています。
「ひと休み」 貴志芳子 「郷愁」 竹林健治 「水郷」 吉田満利
 6月作品(6/13(土))
欧州映画のワンシーンを思わせます。落ち着いた空気感が魅力的。たてものの石積やアーチの形が独特の雰囲気を作っています。人物の大きさやしぐさも自然で良い。「光」がポイントになり、左手前のシャドー部が全体を引き締めています。 デジタルカメラの時代、このような柔らかい描写を見ると、ほっとします。ガラス越しのマヌカンの姿は魅力的。フレーミングが繊細でバランスの良い構成になっています。階調も良く、シャドーの描写がうまく、ドアノブが光っています。
長い時間を感じさせる店の姿をうまく写真にしています。外に置かれたダンボール箱やさまざまな商品が、興味深く読みとれます。店や老主人の風ぼうから、商いを大切にしてきた気持ちが、しみじみと感じられる作品になっています。
「光つかまえた」 宮村歌子 「扉の向こう」 野島 満 「私の店」 坂東捨一
 5月作品(5/9(土))
今も昔も神仏に対する「願い」が連綿と続いている事を改めて感じさせてくれる一枚です。お祈りする人物はよく撮られる情景ですが、この人の姿から「願い」の強さと、真剣さが強く伝わります。カメラポジションが適切なので奥行き感もうまく表現されています。 藤の花に吹く風のように明るく、さわやかな気持ちのよい写真です。真正面からとらえた構図とフレーミング、シャッターチャンスが成功しています。藤棚のトンネル構図もよく、花を撮影している女性もみんな春の気持ちよい暖かさを楽しんでいるのが感じられます。 夢のある楽しい作品です。半透明のボールに入った子供がボンヤリして本当に宇宙人のようで面白い。この作品の良さは、大きさの対比がうまく表現されていることです。左下に小さく入れた人物によって球形の中の子供がとても大きな宇宙人を想像させて、夢の広がる作品になっています。
「願い」 久留主忠雄 「らんらん」 竹本 繁 「宇宙人」 竹本まき子
 4月作品(4/11(土))
情感豊かに描かれた「さくら」の作品です。毎年多くの人が写真を撮る「さくら」ですが、実はとてもむずかしい被写体です。モノトーンでまとめて樹木と花の配分がとても良く構成されています。たくさんの語りかけをもった良い作品です。 静かな早春の情景が伝わる作品です。画面構成が斬新で余韻が感じられます。水面のトーンが美しく、ボートの切り方、樹のカーブがとても効果的で美しい。少ない花が早い春を感じさせてくれます。 なんでもない「認印」のディスプレイをうまく写真化しています。誰も写真に撮ろうと思わない被写体を見事に映像化しています。左側のアウトフォーカスで描いた店内の人物が大変効果をあげています。
ポニーテールのさくら」 吉村高宣 「池畔の春」 野島 満 「100均でも要」 宮村歌子
 3月作品(3/14(土))
都会の街角がそのまま表現された作品です。女性の素直な表情と自転車に乗った出前の配達員の表情が自然で良い。カメラポジションが適切なので人物の距離感がうまく描かれています。次の瞬間人々が動き出しそうで面白い。 嬉しそうに遊ぶ子供達の姿を見るのは楽しいものです。男の子四人の活き活きした表情を捉えたシャッターチャンスは抜群です。気持ちの良いシャープさと光の美しさが生きています。 にぎわう「南京町」がうまく捉えられています。若い二人が食べるラーメンに現代が写っています。思い切り寄った撮影により、遠近感と臨場感が生まれています。人物と奥にある門との距離感も適切です。
「街角」 竹林健治 「ハイ・ジャンプ」 磯 秀樹 「南京町」 中戸祥代
 2月作品(2/14(土))
この作者のみに見えた世界をうまく作品としています。身近にある物体をこのように映像化出来ることは才能です。すぐれた観察力と豊かなイメージ展開と技術力が必要です。タンポポをこれほど表現した作品に初めて出会いました。輝く綿毛の描写が素晴しい。 大変強い主張と表現力を持った作品です。終焉を迎えたヒマワリが語りかける姿を、コントラストの強い画面で表現して成功しています。年齢や人生経験の違いによってさまざまなストーリーが読み取れる作品です。虫喰いの葉が花以上に雄弁に物語っています。 むずかしい被写体をうまく作品にしています。壁面の帽子と手前に置かれている帽子の組み合わせが効果的で、平面パターンになりがちな画面に奥行きを作っています。帽子にうずもれそうな中で、人物のポーズが作品の面白さを決めています。
「風に吹かれて」 野島 満 「夏の終わり」 篠崎一恵 「よりどり・みどり」 宮村歌子
 1月作品(1/10(土))
真冬の高野山の幻想的な夜景が魅力的に描かれています。光に透けた傘が効果的で、降りしきる雪や、杉の大木等、霊場高野山の夜をあますところなく正確な技術によって映像化しています。 万国共通の農村風景が動きのある構図で描かれています。日本の農村風景と違ってカラフルなところをうまくとらえています。シャッターチャンスとフレーミングが絶妙で落下するモミガラもうまく表現出来ています。 都会の夜のワンシーンが夢のあるストーリーを展開してくれます。彫刻がまるで本物の女性のように感じられるのは、背景のイチョウ並木やタクシーの描写が生き生きとしているからでしょう。しゃれた都会の夜をうまくまとめています。暗部の表現も適切です。
「大晦日の雪景」 山口隆章 「豊作」 吉村高宣 「ファンタジー」 笹山直樹
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